初めての入院、初めての手術・・・最後になってくれ!

 

        すごいタイトルですみません、つーかまんまのタイトルですが。

        きっと読んでくれる方は無きに等しいと(人の入院話なんてね)とは思いますが、まあ自分の記録

        にもなるし書き込んでおきましょうかね。

 

        それは、ある木曜日のこと。正確には2006年3月16日のことでした。

        朝起きてみたら調子が宜しくない、胃はむかつくし腹は痛い。おまけに天気は滅茶荒れ模様。

        まあ、それでも夕方のお仕事に行きました。

        でも、天気の所為もあってか生徒の皆様方お出でにならず。

        これ幸いと、2人ほどいらした方には申し訳なかったんですが、クラスをキャンセルしまして帰り

        ました。

 

        あけて翌日。

        夜中、吐き気に襲われて。でもそれで少しすっきりした上に、座薬(以前尿管結石やった時貰った)

        使用して楽になっておりましたので、教えに行きました。

        カイロにも行きました。

 

        ・・・・・・・が。

 

        その夜中、痛みはひどくなりました。

        吐き気はもう無かったんですが、腹が筋肉痛のひどい感じの痛み方で。朝まで殆ど眠れずに。

        そして運命の土曜日、3月18日。

        午後の教え前に、駅の近くの内科の先生の診療所に寄って行くことに。

        幸い大して待たずに診察室に通され、問診後にエコーをかけてもらったところ。

 

        「盲腸ですね、ここ詰まってるのわかります?」

        解りません・・・・はっきり言ってエコーの映像はさっぱりです。

        「かなり炎症起こしてますね、紹介状書きますからA・・病院に行ってください」

        「えと・・・・散らすとか、出来ません?」

        「これ、無理ですよ」

        「でも、仕事が・・・お金が・・・」

        「頼むから・・・・行ってください!!」

        ・・・・・・頼まれちゃったよ。

 

        仕方ないので、自転車飛ばして帰りまして。

        まず、仕事関係にメール。解るところだけメールして。

        ここの日記に書き込んで。

        入院荷物を作りました。

 

        パジャマ・・・要るだろうか。タオルは・・・院内感染を用心してる病院だとレンタルが当たり前だし。

        自分は入院経験ありませんでしたが、付き添いはあったんで。

        まあ、いいか。病衣はいざとなったら貸してくれるだろう、タオルは小さいので。

        Tシャツ何枚か入れて、ソックスと下着と。

        この辺りから、痛みがひどくなってきてそれでも・・・・。

        きっと退屈するから、携帯ゲーム機と攻略本とソフト・・・・・ただの馬鹿ですな。

        あとは、兎に角お金。

 

        そしてタクシーを呼んで、マンションの管理人さんに声をかけ。

        病院へと向かった私でした。

 

        紹介状の効力はかなりのもので。

        午後の診察時間前だったんですが、診察室に通してもらい。まず点滴と採血。

        「先生、この点滴。鎮痛剤入ってます?」

        「あ、入ってないです。手術前提の点滴なんで」

        ・・・・・嘘でもいいから、入ってるって言って欲しかったよーーー。

        しかも、切るってもう決まってるんですかーーー?

 

        そして、検査。

        X線、CTスキャン、造影剤入れてX線再び。

        このラストのX線が辛かった。だってね、大腸映すのに造影剤入れるとなれば、肛門からで、要は

        殆ど浣腸ですわよ。盲腸の痛みと、純粋な(?)腹の痛みと。

        結局、手術室に入るまでに、私は4回はトイレに駆け込む羽目になったね。

 

        検査の合間にも、管理人やることはやります。って言うかこれ逃避行動の一種でしょうが。

        電話かけます。

        スタジオの責任者に、私の先生に、叔父に。

        メールは出してましたが、まあ完全にアウトだと知らせます。

 

        看護士さんたちも、そんな私を追いかけます。

        全身麻酔をするから、アレルギーとか書き込んでくれと書式を渡されたり。

        現在使用中の薬や既往症について、聞いてきたり。

        そんなことやってて・・・。

        到着したのが午後1時半くらいでした、検査が終了したのが4時ちょい前。

        診察室に呼ばれまして、

        「手術の説明と、承諾書に署名をして欲しいんですが。ご家族は?」

        「いません・・・・少なくとも、すぐ来られるのはいません」

        先生、ため息。

        「では、当人承諾ということで」

 

        そして始まる、インフォームドコンセントってやつ。

        図入りで説明してくれまして、勿論X線写真やらCT写真やら参考に見せてくれまして。

        「多分癒着がひどいかと、ここです」

        言われて見てみると、大腸にぶら下がってるはずの虫垂が上に跳ね上がってる。

        「これが大腸に完全に癒着してるなら、大腸と小腸の一部も切り取ります。で、直接繋いで」

        さいですか・・・・・。

        「それもこれも含めて、手術には合併症が出る場合があります。これ読んでください」

        渡された書類には、あれこれおっかない予後に出るかも知れない症状が書いてある。

        でもさ、それ見て「じゃ、やめます」って言えないわけだよね。

        手術しなきゃ、はっきり言ってこの世とさようなら状態まで来てるんだから。

        ここで、苦しい息の下からダンサー根性がムラムラと。

        「先生、出来れば腹筋を・・・切らないでください」

        「あー、ええ出来れば腹直筋も腹斜筋もいじらないようにしますが。場合によっては少しは」

        「だったら、沿って切ってくださいね」

        釈迦に説法であっても、ここで言わなきゃダンサーじゃない。

 

        それでも、この辺りまできたら。さすがに座薬の効果も切れて、痛くて痛くて。

        もう何でも良いから、さっさとやっちゃってくれ状態だったんです私。

        なので、あちこちサインして。

        入院承諾書の保証人は、後で叔父に頼むことにして。

        「じゃ、病棟に上がりましょうね」

        看護士さんに付き添われて、3階へ、外科病棟へ。

 

        痛みが来ててあまり記憶にないんだけど、病棟に上がったところで看護士さんが変わったような。

        外来と入院と分かれるのね。

        「ベッド無いんで、個室ね」

        個室ぅーーー?!金ないよ。差額ベッド代高いんですが。

        まあ、後でちゃんと確認しました。病院側の都合での個室入りだったんで、差額は払わんで済んだ。

 

        服脱がされて、病衣に着替えて。下着もT字帯に変えて。

        「これって、要は・・・・ふんどしですか?」

        「そういうことですね」

        なんつー会話だ。

        ソックスはかされて。

        これ、今普通の薬局でも売ってる、足がむくまないように段階作って圧迫かける靴下、ってやつ。

        手術が1時間以上掛かるだろう場合は、もれなく履かされるんですと。

        勿論、剃毛ってやつもここでやられました、はい。

        準備完了。

        

        「さあ、手術室に行きますよ」

        ・・・・・って・・・歩いて行くんですか。ストレッチャーに乗って・・・・行くんじゃないんですか。

        点滴棒引きずって、自力で行くわけ・・・・・。

        諦めて、看護士さんに付き添われて手術室に。後で歩いてみたら、30メートルくらいの距離

        だったな。

        で、入り口。

        いきなり借り物のスリッパが張り付いた、床の敷物に。

        ここで、スリッパ脱ぐのを忘れないように、ってことか。

        自動ドアが開くと、術衣を着た看護士さんが2人待ってまして。気分は地獄の1丁目。

        中にあったスリッパに履き替えて、外の看護士さんは「行ってらっしゃい」中の看護士さんは

        「早くいらっしゃい」、そんな感じで。

        やっぱり地獄の1丁目・・・・・だったらしい。

 

        そして通された部屋には、手術台がドッカーンとあって

        「はい、乗ってくださいね」

        って、自力で這い上がるんですか?えらく高い手術台なんですが・・・・。

        上がりましたよ、根性で。ああ、手術用ライトです。初めて見ました。

        寝てみたら、暖かい。

        「大丈夫、寒くない?下にお湯が通してあるから、すぐ暖かくなると思うけど」

        はい、暖かいです。熱による寒気も癒されます。

        時間つぶしに、また緊張をほぐす為か看護士さんたちが色々話しかけてくれて。

        管理人、有難く話しに乗って、

        「あのー、どなたか21日の祭日、仕事休みの方いません?日光周遊のチケット、あるんですが。

        私どうやっても行けないだろうし、無駄になっちゃうんで差し上げますが」

        こんなこと、手術台の上でほざく患者は、そうはいないだろう。

        誰も暇ではなかったが。

 

        そうこうしてたら、麻酔医の登場で。

        「予備注射しますよ、ちょっと冷たいですからね」

        「あ、本当に冷たいですね」

        「ええ、薬自体も冷やしてあるんですよ」

        ここで、管理人の記憶は切れてます。

        マスクをこの後かけられたんでしょうが、何しろ普段から麻酔の掛かり方がとてもよくて、歯医者

        さんにも嬉しがられているだけのことはあります。

        予備注射だけで、意識はどっかん沈みました。

 

        ・・・・が。

        次に憶えているのは、

        いってぇーーー!!!

        激痛・・・・。

        ストレッチャーからベッドに移される途中、浮かんだ状態で覚醒したんですわ。

        そして、静かにやってくれたんでしょうが、ベッドに落ちた(降ろされた?)衝撃で激痛のダブル。

        「痛い、痛い、痛い・・・・・」

        これしか言えない私。

        「はい、鎮痛剤入れますからね。我慢してね」

        「うん、痛いね。もう少しだからね、痛くなくなるからね」

        看護士さんたちの反応は、さまざまでした。

        ゆえに、ドラマなどでよくある「○○さん、聞こえてますか?聞こえてるなら・・」何て、まるで

        ございませんでしたことよ。

 

        そして、鎮痛剤の点滴が2本目に差し掛かる頃、やっと自分の現状を見るゆとり・・・ってーか、

        痛みが少しは収まったわけです。

        ちなみに、準備終わってこの同じ部屋を出たのは午後4時40分頃。

        さっき、痛みの中で目に入った時計は午後7時40分頃。

        3時間経ってました。実際の手術時間は、1時間半ってとこだったようですが。

        普通の虫垂炎(腹膜炎起こしてなければ)なら30分くらいで終わるそうなので、やはり一応

        ヤバかったようではあります。

 

        さて、ここでの己が姿ですが・・・。

        左腕に、点滴。栄養点滴と鎮痛剤。

        右腕に、血圧計と脈を計るためのクリップ。

        胸に、心電図用のクリップ。

        腹にドレイン(膿出す為のチューブ)2本。

        足の裏に、何やらパコパコ刺激を与える機械。(血流を止めないように土踏まずに刺激)

        鼻に管。(胃まで通ってました、胃液などを逆流させない為に吸い上げるんですと)

        脚の間に違和感、尿カテーテルでした。

 

        看護士さんが言いました。

        「今夜はゆっくり眠ってね、明日から歩きますよ」

        この状態で、どうやって眠れと?

 

        しかも・・・・看護士さんたちは、大変な仕事だとしみじみ思ったけど、30分置きに計器を調べ、

        1時間置きに消毒をし。徹夜で看病してくださいました・・・・が、眠れんわ。

        加えて、足の裏のパコパコが、普段だったらとっても気持ち良いのに違いないパコパコが、腹に

        響いて痛くて。うとうとしては目が覚める。

        取って欲しいと訴えてみたものの、先生の許可が無ければ駄目と一蹴されてしまいましたわ。

        そして、話すたび、唾(なんて殆ど出ないけど)飲み込むたびに痛いのが、鼻から入った管。

        取って欲しいと・・・・・・以下同文。答えも・・・・同じ。

 

        1時間ごとに目を覚ましつつ、朝を待ちわびておりました。とても長い夜でした。

        って・・・朝になったからって、何が起こるわけでもないって、充分解ってましたけど。

        でも人間、朝を待つんですね・・・・・・実感。

 

                さて、管理人の運命は・・・・続く            白鳥メニューに戻る